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北海道大樹(たいき)町で、新たな宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」の整備が着々と進んでいる。令和元年には町内で打ち上げられた小型ロケットが宇宙空間への到達に成功。現在は6年度以降の供用開始に向け、人工衛星を搭載した小型ロケット用の射場を建設中だ。国内外で小型衛星の需要が高まり、民間宇宙旅行も拡大する中、日本における新たな「宇宙の玄関口」として注目を集めつつある。
立地の優位性を強調
「(米国の)ケネディ宇宙センターと環境が非常に似ている。私たちは『天然の良港』と呼んでいる」
10月に近隣の帯広市で開かれた「北海道宇宙サミット」。現地だけで政府や企業関係者ら約800人が参加し、HOSPOの管理運営を担う「スペースコタン」の小田切義憲CEOは、立地の優位性を強調しながら宇宙港としての展望を説明した。
ロケットの打ち上げは通常、万が一の事故に備えて周辺に人家の少ない場所で行われる。日本では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センターや内之浦宇宙空間観測所などが、鹿児島県の太平洋岸に設けられている。
HOSPOも同様に太平洋に面しているほか、周辺は未開発の湿地帯に囲まれ、人家が見当たらない。施設を拡張する余地が大きいだけでなく、顧客が望むタイミングでの打ち上げに向け、地元との調整がしやすいという。
筆者:小野晋史(産経新聞)